二十日鼠の夢
夢は 届かないから 夢であって
叶った瞬間 夢ではなくなる
それでも また 違う夢をみて
生きることを 繰り返している
そんな自分が カゴの中の二十日鼠のように思えて
なんだか夢見ることが馬鹿らしく思えた
疲れ果てて 見上げた空には
いつものように雲が流れていて
その手前には 鳶が翼を広げていた
そういえば、昔こんなことを思っていた
自由に空を飛んでみたい
でも、いまでは 自由になった僕が 空を飛べたとしても
どこへ向かって飛ぶのだろうか
空を飛ぶ夢は叶ったのに
僕は 何処へいけばいいのかわからない
空を飛ぶことだけを考えていたから
空を飛ぶことだけを考えていたから
僕の力では、飛ぶことなんてできないのはわかっていた
風があって、翼があって 僕は空を飛べる
そのどれもが 僕にはない。
だから僕は 空をとべない。
あの空の鳶は
僕のことを、どう思っているのだろう
君のようになりたいと思っていた 僕のことを
いまでも、夢はみることがある
それは、昔のように できない夢じゃなくて
叶うかもしれない夢
いつのまにか、手に届く夢しか みられなくなった僕は
二十日鼠よりも、さびしい人間なのかもしれない。
カゴの中で、一生懸命車を回している二十日鼠の夢のほうが
自分より大きいのかもしれない
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